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A priest-4

おじさん褒められると調子乗っちゃいますから。ということで久方ぶりに

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袈裟を着ている。ボロボロの、血糊のたくさんついた、昔、インドネシアにいたときによくいた物乞いのようないでたちで。視線を上に移してゆくと、柔和という表現がいちばんしっくりくる顔と、頭はところどころ剃り負けしていて、葬式でお経を唱える坊さんのような俗っぽさは微塵も感じなかった。

彼は表情を何一つ変えず、口だけを動かしてこう一言言った。

「御仏に祈っているのですよ。」

きっと、この時、僕の表情は「何を言っているんだ。コイツは。」というのが滲み出ていただろう。

彼は少し笑いながら続ける。

「私が出家したのはあの臨時ニュースのあとなんです。そう、あれは錯乱した民衆と供に寺に火をつけ、僧侶を生きながらに焼いているときでした。うめき声と狂乱の中、燃える仏をみながら、私はこう思いました。」

「私はこの滅びを受け入れようと。」

そして溶けゆく仏像を見ながら、「ヒトによって造られた像は、みにくく変形し、所詮、これは人工物なのだとわかりました。ヒトはこの像に祈り、その後ろにいる仏に祈っているのではないのです。」

「ヒトがヒトの造ったものに祈るのです。こんな滑稽なことがあるのでしょうか。」

「ヒトがヒトに希望を持つことさえ儚いものなのに。」

「少なくとも私はそう思います。」



表情を変えずに、穏やかな口調で語り続ける。僕はめんどくさいと思うだけだった。

「はぁ。」という曖昧な応えが僕の今の心を一番表してるだろう。

  by hosimango | 2005-01-06 09:53

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